「BL界隈」カテゴリーアーカイブ

「モーリス・4K」に惑う

「モーリス(1988)4K」を観てきた。

もう素晴らしすぎてね…。何から語ればいいのか分からん。青年たちも衣装もイギリスの古い屋敷も雨も霧も、何もかも美しすぎ。新宿の角川シネマなので、劇場を出た途端モーリスの世界とは真逆の醜悪な景観の中に放り出されるわけですよ。やり場のない怒りがこみ上げますよ。

「モーリス」は中学生の頃に初めて観て、5、6年前にまた観て、今回初めてスクリーンで鑑賞したのだが、毎回印象が変わる。ティーンの頃はBL&イギリス貴族という黄金設定にひたすら萌えるのだけど、結局ラストシーンの意味とかよく分からないんだよ。5、6年前に観た時は、モーリスの生き様が普遍的な「魂の解放」を意味することが理解できたので、以前とは全く違う感動に包まれた。そして今回は大きいスクリーンで鑑賞できたこともあり、衣装や美術の素晴らしさに圧倒されると同時に、この映画はLGBTの権利が当然のものとされるようになった現代においては、まっとうな普通の話である、ということに気がついた。

原作者のフォースターは20世紀初頭に「モーリス」を著したのだが、当時のイギリスで同性愛は重大犯罪であったので、作品が出版されたのはなんとフォースターの死後1970年代になってからなのだ。

1988年に映画化された際も、今ほどLGBTは「普通のこと」とは見なされていなかったから、ジェームス・アイボリー翁の執着心は相当なものだったのではないかと思う。そういう消化されない想念が画面の中で雲母のようにキラキラ光っている。もし今同じスタッフで同じ作品を撮っても、こんな重力を持った映画にはならなかったのではないだろうか。当時ほど抑圧がないから。

実際、青年たちがキラキラ綺麗に撮られすぎ。衣装がまたカッコいいしね。ケンブリッジで船あそびする時のパナマ帽とニットとか、正装のタキシードとか、ギリシャ旅行の際のベージュのリネンのスーツとか、ほんと素敵なの。それにひきかえ女性たちのモジャモジャヘアーとズルズルしたドレス姿の野暮ったいこと。ああ、きっとジェームス・アイボリー翁には、女性はこんな風に見えているんだなあ、と思ったよ。

ラストシーンがまた最高なんだよね〜。あの無慈悲な短いエンディング。短いといえば、テンポが早い早い。最低限のセリフと動作でどんどん話が進みますよ。

とにかく本当に素晴らしいので、好きな人は必ず劇場で観た方がいいよ!

上映が終わった後、この小さい劇場でそわそわと一緒に観劇した女性たちと「名曲喫茶ランブル」にでも移動して、モーリス話をしたらめちゃくちゃ盛り上がって心の友になれるかも、と妄想した。それくらい、モーリスという作品があの頃の少女たちに与えたインパクトはフェイタルだったんですよ。

「真夜中の天使(栗本薫)」に美女と美少年の悲劇を想う

「真夜中の天使」(栗本薫著)は、TBSのカルト・ドラマ「悪魔のようなあいつ(1975)」へのオマージュ的な小説。

「悪魔のようなあいつ」の内容を超ざっくり説明すると以下のような感じ。主演の可門良(沢田研二)が、実は3億円事件の犯人で、時効までなんとか逃げ切ろうとしているのだが、死病におかされていることも発覚。ジュリーの運命やいかに?!

ただし、重要なのはストーリーではなく、ジュリーの幻惑的な存在感そのものなのである。可門良ジュリーは、BL、男娼、犯罪者、死病、歌手、孤児、ネコ好き、という全ての萌え要素がぶち込まれたキャラで、22時からお茶の間で垂れ流されていたことがにわかには信じがたいような尊い内容のドラマなんですよ。この説明にピンっときた人は、絶対にハマると思うのでぜひご覧くださいね。

追記・可門良ジュリーの衣装についてまとめたこのサイトが素晴らしい。
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「少年の名はジルベール」(竹宮恵子)を読んだ。

「風と木の詩」が好きすぎるので、竹宮恵子先生の自伝を読んだ。
自伝というか萩尾望都と竹宮恵子が共同生活をしていた「大泉サロン」時代の回顧録。これが超感動作であったので、そのあたりのマンガ家が好きな方は必読。というか満身創痍の「創作論」「芸術論」でもあるので、クリエイターさん必読かも。

1950年生まれで生粋のレジスタンスであられる竹宮先生は、学生運動にも興味を抱き、マンガ業を1年間休んで学生運動に参加している。そして「あの学生たちは自分が主張している言葉の意味も分かっていない」「みんなまず実力をつけてから自分が得意な分野で革命を起こすべきだ」「私は少女マンガで革命を起こす」と語る。しかしその道は困難で、既定路線しか認めない出版社に絶望し、ライバル萩尾望都への嫉妬と劣等感に苦しむ。前例のあるものしか認めない組織、男女差別、雇用の不安、といった社会構造も普遍的なものなのだと分かる。しかし、やがて竹宮先生は外的、内的な困難を克服して、ついに「少女マンガで革命を起こす」ことに成功するのだ。
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ビヨルン・アンドルセンのオーディション映像

(*´ー`*)ウットリ

ビヨルンって本当はけっこうヤンキーっぽい子で、全然タジオみたいな雰囲気じゃないんだよね。

「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー(1970)」を観ると本来のイメージが分かる。
ただし、両親を亡くしていて薄幸だったので、 続きを読む ビヨルン・アンドルセンのオーディション映像