「本」カテゴリーアーカイブ

マタギ奇談 (工藤 隆雄・著)

マタギに憧れているドーラ(うちのネコ)に読んであげようと思い買ってみたら、めちゃ面白かった。柳田國男的にマタギたちから聞いた「奇妙な話」を寄せ集めたもの。

昭和のUMAブームの際に「雪男を探す」テレビ企画で唐突にヒマラヤに連れていかれたマタギたちの話、熊を殺したらまだ乳離れしていない子熊が現れてその子供らの親代わりになるマタギの話、マタギの掟を破った結果起きた謎の集団死の話、世界遺産に登録されたせいで白神山地から追い出された「最後のマタギ」の話などなど。興味深くて明け方まで一気読み。

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「真夜中の天使(栗本薫)」に美女と美少年の悲劇を想う

「真夜中の天使」(栗本薫著)は、TBSのカルト・ドラマ「悪魔のようなあいつ(1975)」へのオマージュ的な小説。

「悪魔のようなあいつ」の内容を超ざっくり説明すると以下のような感じ。主演の可門良(沢田研二)が、実は3億円事件の犯人で、時効までなんとか逃げ切ろうとしているのだが、死病におかされていることも発覚。ジュリーの運命やいかに?!

ただし、重要なのはストーリーではなく、ジュリーの幻惑的な存在感そのものなのである。可門良ジュリーは、BL、男娼、犯罪者、死病、歌手、孤児、ネコ好き、という全ての萌え要素がぶち込まれたキャラで、22時からお茶の間で垂れ流されていたことがにわかには信じがたいような尊い内容のドラマなんですよ。この説明にピンっときた人は、絶対にハマると思うのでぜひご覧くださいね。

追記・可門良ジュリーの衣装についてまとめたこのサイトが素晴らしい。
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「少年の名はジルベール」(竹宮恵子)を読んだ。

「風と木の詩」が好きすぎるので、竹宮恵子先生の自伝を読んだ。
自伝というか萩尾望都と竹宮恵子が共同生活をしていた「大泉サロン」時代の回顧録。これが超感動作であったので、そのあたりのマンガ家が好きな方は必読。というか満身創痍の「創作論」「芸術論」でもあるので、クリエイターさん必読かも。

1950年生まれで生粋のレジスタンスであられる竹宮先生は、学生運動にも興味を抱き、マンガ業を1年間休んで学生運動に参加している。そして「あの学生たちは自分が主張している言葉の意味も分かっていない」「みんなまず実力をつけてから自分が得意な分野で革命を起こすべきだ」「私は少女マンガで革命を起こす」と語る。しかしその道は困難で、既定路線しか認めない出版社に絶望し、ライバル萩尾望都への嫉妬と劣等感に苦しむ。前例のあるものしか認めない組織、男女差別、雇用の不安、といった社会構造も普遍的なものなのだと分かる。しかし、やがて竹宮先生は外的、内的な困難を克服して、ついに「少女マンガで革命を起こす」ことに成功するのだ。
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カラシニコフ自伝 (エレナ・ジョリー著)

息子が興味持つかなあ、と思って買った「カラシニコフ自伝」を自分で読んでみたところ、面白すぎた。カラシニコフの伝記なんてミリヲタ息子による銃器啓蒙活動がなければ一生読む事はなかったと思うので、息子に感謝している。
カラシニコフは、世界で最も普及している銃「AK47」の設計者である。

カラシニコフは、レーニンの恐るべき「富農処罰政策」により、シベリアの不毛地帯に強制移住させられた流刑農民の息子だった。強制移住前は幸せな家庭だったのだが、流刑地では家族が次々に栄養失調や過労で死んでいく悲惨な日々を過ごした。そして、そのような理不尽な運命を打開すべく15歳で村を脱走。自ら偽造したビザを所持して出自を偽り、戦場で独学で銃の知識を会得していった、という生い立ちだけでもシャア・アズナブル並みの魅力的キャラ設定ではありませんか? 続きを読む カラシニコフ自伝 (エレナ・ジョリー著)

「Steves スティーブズ」の最終巻を買った

(´;ω;`)・・・・
大好きな「スティーブズ」が終わってしまった。
事実は小説よりも奇なりノンフィクションマンガ。
パソコン黎明期の興味深いエピソードてんこ盛りで、続々と天才変人が現れる。70年代アメリカ西海岸文化が大好きなので、ジーパンにタレメガネの人々がたくさん出てくるのもいい。

そこかしこが腐っている感じも好み。物語の主軸はスティーブ・ジョブズVSビル・ゲイツなんだけど、最終巻ではスティーブがビルに背後から覆いかぶさり手の上に手を重ねてマウスをクリックさせるサービス・カットもあるヾ(;゚□゚)ノギャアアー!

ただしスティーブは無造作ロン毛イケメン、ビル・ゲイツは⇧このようなメガネクール美青年として描かれているので大丈夫だよ!

これアップルとか好きな人はみんな読んだ方が良いと思う。