オレは見事に入定を果たしたぞ!
卑しい人間どもと同じように、世俗のくだらない誘惑に負けそうになったこともあったが、最後には高貴な魂が勝利したのだ……。
今後は、より高位の支配者として君臨するので
「ラーマ上猫(ショウビョウ)」
と呼称するように。
オレは解脱できて幸福なのだが、現世に遺してきた召使いどもの行く末が少々心配ではある。
オレが授けようとした哲学も叡智も、全く会得できない愚か者どもなのだから、主人を失ったらまさに無明の徒であろう。
ありもしない恐怖におびえ、かりそめの愉しみに陶酔し、一喜一憂する様子はまことに滑稽であった。
まあ、あいつらも時間をかければそのうち悟りに至るのかもしれない。ながく一緒に暮らしていたのだから、情がうつっていないといえば嘘になる。
涅槃で再会できることを願っているぞ。
達者でな。