全てが異常。
変態大型ネコ映画「ロアーズ(1981)」を観た。
最近リバイバル上映されたりDVDリリースされたりしたので、洗練された予告編が作られているけど、実際はこんなまともな内容ではない。150頭の大型ネコ族が出演し、画面の中は常にライオンやトラが押し合いへし合いしている状態。
なぜか撮影に10年以上かかり、制作費は1700万ドル超。アメリカと南アフリカの共同制作作品だけど、植村伴次郎(東北新社創業者)が制作総指揮にクレジットされている。出資者なのでしょう。
本当はサンリオの「アフリカ物語(1980)」みたいな作品にするつもりだったんじゃないだろうか……。
ライオンとトラとヒョウが大好きで飼い始めたけど、増えすぎて多頭崩壊しました的な話だが、エンドクレジットには「自分たちがどれだけ野生動物を愛していて、どれだけ動物を大切に扱ったか」といった主義主張が書きつらねられている。
動物は怪我をしなかったのかもしれないけど、出演者やスタッフは大勢怪我をしたらしい。実際に映画を観れば分かるけど、ライオンやトラを前にして、ありえないような危険な行動をたくさんしているのだ。
なにやら異様な熱気と迫力のある作品。「良い作品」ではないかもしれないけど、独自性があることは間違いなし。「湯水のように時間とお金をかけて個人的な遊戯に没頭した」感あり。大型ネコ好きは必見。