2015 ヨーロッパ周遊旅行(2015/7/31)

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A room with a view

朝食会場からフィレンツェらしい眺めが見られる。

フィレンツェといえば「眺めのいい部屋(1986)」だよね。

景色に全く現代建築がなくてすごい。

ヨーロッパの美しい古建築って、実は法律でがんじがらめなんだってさ。旧市街の建物は窓ガラスを交換するだけでも許可が必要。郊外の新興住宅地は近代建築だからそんなに規制はないけど、それでも「旧市街の遠景」の景色を守るために必ず古建築と同じ色にしないといけないんだって。だから地平線まで中世の景色が保存されているの。すごいよね。


でも、こういう古建築が並ぶ街並みは、日本人からすれば憧れだけど、現地人にとってはうっとうしかったりもするのかも。ヨーロッパってアメリカやアジアに比べるとイノベーション的な能力がちょっと欠如しているじゃない。なんでも原始的に解決しようとする、というか。それってこういう古い制約の中で生きているからなのかもしれない、と思った。一方で、職人技的な審美眼は断然優れているよね。アジアも伝統工芸は素晴らしいけど、アジアはそういう美しいものが特権階級だけのものなので。かたやヨーロッパは誰でも「伝統的な美」に触れることができる。美術館なども学生は無料で入れることが多い。

ほぼ手遅れだけど、日本も古い建築を大切にするようになって欲しいな。税制を変えるだけでも違うと思う。

なお、食事内容はまあまあ。貧弱だし、人工甘味料っぽいジュースしかない。

本日は、わざわざ日本人ガイドとドライバーを雇ってボマルツォとチヴィタとオリヴェートのプライベートツアーに行く。日本から手配したんだけど、昼から夕方まで7時間くらいの行程で9万円くらいした。
高いので結構迷ったけど、結果的にはすごく良かったので、金額の価値はあった。

10時頃にホテルまでガイドさんが迎えに来てくれて、専用車でボマルツォに向かう。フィレンツェに音楽留学をしたあと、そのまま住み着いてしまったという感じのよいアラサー女性だったよ。

フィレンツェの旧市街って、道幅3メートルくらいの小道が多い。狭い曲がりくねった石畳の道を車で走るのは結構大変そうだった。旅行者のレンタカーとか絶対無理だと思う。

まずミケランジェロ広場で記念写真。
これは頼んでないけど、ついでに立ち寄りましょう的な。近くにミケランジェロさんちがあるんだって。すごくない?普通にミケランジェロさんちがあるの。日本でいえば「近所に雪舟さんちがあるよ」みたいな事だよね?この辺りのお屋敷はみんな同じくらい古くて、普通にリッチな人たちの住居として使われているそう。豊かすぎる暮らし。

サービスエリアでの休憩を含めて2時間程度でボマルツォに到着。
運転手さんは飛ばしたりせず、安定した運転で良かった。

オルシーニ家の邸宅。
詳細はこちらのHPを参照あれ。

入り口。

この怪物の足の上にシブタツ夫妻が座って記念写真撮ってたの。

同じ場所で写真撮りたかったけど、現在は観光客が増えたので、オブジェに触れることは禁止されてしまっている。

微妙に傾斜して建てられた家。
この庭園を造ったピエール王子は、ゲストをこの家に一晩泊めて、平衡感覚がおかしくなった状態にさせてから庭園を案内したんだって。いやだ〜。数分いただけで酔っちゃうのに。

地獄の入り口に吸い込まれていくところ。
中にテーブルがある。お茶会とかしたのかな。

保存状態が良いドラゴン。っていうか、こんな不安定な巨大石像たち、よく500年も持ちこたえていたよなー。

澁澤龍彦の紀行文とマンディアルグの短編により、

ボマルツォへの妄想がぱつんぱつんになっていたこともあり、平和な家族向け公園に整備されている今の状態にちょっと拍子抜けしたのも事実なのだけど、とはいえ、めちゃんこ素晴らしい空間でありました!

ボマルツォの森には管理室がある。
場末の観光名所みたいなシャビーな土産物やキッチュなゲームが置いてあって萌える。70年代から置いてありそうな雰囲気。

レトロなパノラマ本はスペイン語版しか残ってなかったけど購入。
なんと地獄のスノードームやステッカーもあった!これは割らないよう気をつけなくては…。

もうここだけで十分満足したけど、次はオリヴェートの街へ向かう。

オリヴィエートの街の遠景。
そそりたつ岩壁の上にへばりついているような形状の旧い街は、この辺りではよくあるものらしい。エトルリア人が防御のために岩の上に街を築いたのが始まりだとか。それって3000年以上前だよね…。イタリアすごいな。


シブタツも賛美したドゥオモ。

街並みは全部こんな雰囲気で古く美しい。

名物のトリュフカルボナーラを食べた。
トラットリア ラ パロンバ la palomba というお店。

これは現地でしか食べられない系のワイルド感があって美味しかった!
イタリアのレストラン、私が行った範囲ではそんなに感動がなかったんだけど(トーキョーの名店が美味しすぎるので)、この店のカルボナーラは日本では食べられないローカル味だと思うので、超おすすめ。

後日、この辺りで採れるオリーブオイルの美味しさに仰天した。多分、素晴らしいオイルをふんだんに使っている事も関係あるかも。オイルだくだくなので。

オリヴィエートで不動産の相場を確認。

トスカーナは、なだらかな起伏の丘に葡萄畑が広がり、とりわけ高い山の上には領主の旧い城館が建っているような素敵な土地。アメリカのセレブなんかが、こぞって別荘を買っているらしい。建築も数百年経ったものが普通だけど、値段は東京郊外のへぼい戸建てと同じくらいですよ。買いたい…。

次にチヴィタヘ向かう。オリヴェートから車で20分程度。

チヴィタは、巨大な陥没地帯の真ん中に隆起した岩壁上に建っている街。
今は五人しか住人がいないけど、観光名所なので、レストランやホテルは存在する。
遠くから雷雲が移動してくる様子も見えて、ちょっとアフリカの大地溝帯を思い出させる。

ここも古代エトルリア時代からの住居。
例のごとく「ラピュタのモデル」ということになっている。世界中にいったい何箇所あるのかね?ラピュタのモデル。


街まではこんな橋を渡っていく。万里の長城に似ているので、中国人団体が多いんだそう。


街の入り口。

街の内部。20分くらいで一周できそうなコンパクトさ。


子供が作った街の模型。

家のバルコニーはもれなく断崖絶壁の上。


崩落が進んでいるらしいので怖いと思うんだけど。

ドゥオーモもある。ローマ時代には非常に重要な拠点だった証拠らしい。

チヴィタはネコの街でもある。
イタリア語では猫がナクという専用動詞があって、それはミャンゴラーレなのだそう。

ところで、本日ガイドをしてくれた日本人女性は、すっかりイタリアン化したチャーミングな方だったけど、昨年4年ぶりで日本に戻った、とサラリとおっしゃる。イタリアの方が居心地が良いらしく、日本に戻りたいとはあまり思わないそう。
海外に住み着いている日本人の中には、そういう宿命の人ってよくいるよね。故郷という概念って何なんだろうな。

そのガイドさんに、イタリア人の気質について尋ねた結果、イタリア人がテキトーなのに一流品を作る秘密が判明した。簡単に言うと、イタリア人はADHD気質あるいはB型気質なのだそう。自分にとっての必然性がないものは放置してしまいがちだけど、好きなものには大変頑なに取り組むのだとか。学校の就業時間も少ないんだけど、とても難しい宿題が出るので、熱意のある子は自力でメキメキ伸びるのだそう。

美しいものを生産しがちなのも、他人の都合とか大人の事情を無視できる能力の賜物なのかもな。日本人もヲタク気質ではイタリア人に全く負けないけど、周囲との調和を重んじるから、個人の能力が発揮できていない局面が多いと感じる。組織が個人の能力を潰すような傾向もあるし。

帰路。車からの眺め。

こういう古いお城買いたい!

トスカーナは美しいな。この魅力は現地に行ってみないと分からないかも。

ホテルに戻ってからガイドの女性が、「他にもレストランの予約とか、何か私にできることがあればやりますよ」と提案してくれた。全体的に感じ良い。ドライバーのおっちゃんが別れ際に投げキッスしたのもイタリアンで良かった。そういえばドライバーのおっちゃんはジーンズなんだけど、上はパリッとした白いシャツ着てた。しかも胸元大きめに開けてた。イタリア人男性って、ほんとにそういう服装しているんだね!街中でもいわゆる「イタリアのちょいワル」的なシャツスタイルの男性が多い。

あ、でもフェラーリとかランボルギーニとか1台しか見かけなかったよ。あれはほとんど輸出されているんじゃないだろうか。

っていうか、トーキョーはイタリアの高級車が一番たくさん走っている地域だと思う。ドバイとかだって、あんまり見かけないよ。

イタリア人って愛想がいいし、今まで通過してきたヨーロッパの人々よりも親しみが感じられる。フランス愛のシブタツですら、ヨーロッパ周遊した後、イタリアが一番好きになったみたい。文化も超重厚だしね。

次の日に続く

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